明治30年に読売新聞で発表され、明治の時代に多くの読者を魅了した尾崎紅葉の名作「金色夜叉」(こんじきやしゃ)。
許婚の関係にあった間貫一(はざまかんいち)と鴫沢宮(しぎさわみや)。
しかし、両親の勧めに従って実業家に嫁ごうとする宮と、これを裏切りと感じた貫一は、1月17日の月の夜、熱海の海岸で泣く泣く別れることになりました。(それがいわゆる「熱海海岸の場」であり、二人の傍らにあった松が「お宮の松」として有名になり、全国から多くの観光客が「お宮の松」を見に来るようになりました。)
その後、貫一は金持ちに嫁いだ宮を見返すかのように金儲けに明け暮れ、宮は貫一を裏切ったとの想いから心を病んだのです。
→お宮の松/貫一お宮の像について

現在のドラマのように、二人の行く末を案じて世間は熱狂し、 切ない別れの舞台となった熱海海岸は憧れの観光地となりました。 そして現在まで何度となく映画化、映像化されました。
このように日本中の人々が、熱海の名を知るきっかけとなった「金色夜叉」の作者である 尾崎紅葉の偉業をたたえ遺徳を偲び、毎年1月17日に「尾崎紅葉祭・紅葉筆塚祭」を開催しています。
「新金色夜叉」の歌詞をここでご紹介します。この詞だけで貫一お宮のストーリーが切々とわかります(;_;)

 ヴァイオリン演歌 【新金色夜叉】 作詞:宮島郁芳・作曲:後藤紫雲  (※日本流行歌史による)
 1・熱海の海岸を散歩する 貫一お宮の二人連れ 共に歩むも今日限り 共に語るも今日限り
 2・僕が学校おわるまで 何故(なぜ)に宮さん待たなんだ 夫に不足が出来たのか さもなきゃお金が欲しいのか
 3・夫に不足はないけれど あなたを洋行さすがため 父母の教えに従って 富山一家に嫁(かしず)かん
 4・何故(いか)に宮さん貫一は これでも一個の男子なり 理想の妻を金に替え 洋行するよな僕じゃない
 5・宮さん必ず来年の 今月今夜の此の月は 僕の涙で曇らして 見せるよ男子の意気地から
 6・ダイヤモンドに目がくれて 乗ってはならぬ玉の輿 人は身持ちが第一よ お金はこの世のまわり物
 7・恋に破れし貫一は すがるお宮を突き放し 無念の涙はらはらと 残る渚に月淋し

2025年1月17日(金)13:00~
【尾崎紅葉祭】お宮の松にて ※荒天時は「熱海芸妓見番」
・関係者による挨拶
・関係者による献花
・熱海芸妓による寸劇舞踊「金色夜叉」(貫一お宮泣き別れ名場面)